Selection of builders

工務店の選定について

設計事務所は設計・図面の作成・監理(図面と現場の照合)を主な仕事とします。
実際に建物を作るのは工務店(小規模な建築会社・地場ゼネコンなど)となります。
当事務所では、工務店は日ごろから付き合いがあり、規模や技術力が把握できる会社に
お願いしています。施工実績のないエリアや新規の工務店の場合は、お願いするまでに
打合せと施工物件の見学などをとても入念に行い決めるようにしています。

工務店を選定するという事はどういう事か解説します。
まず、家の建て方には2種類あり、設計事務所が入る場合は2社それぞれと契約する事になります。

施工の会社に直接依頼する場合

設計事務所に依頼する場合

上の図はとても簡略化して書いております。
一般的に「工事費とは別に、設計料が余計にかかる」という印象をお持ちの方が多いと思います。
その印象がぬぐえない方は、設計事務所に依頼をするべきではありません。
下記に、なぜ設計事務所が長い歴史で存在し必要とされてきたのかを解説します。

① 建て主は建築のプロではないので、限られた時間の中で建物の作りや工事金額が適切かを知る事が出来ない。
② 建て主が望むデザインを、工務店にうまく伝える事ができない。
③ 建て主と工務店の1:1の関係では、工務店の経営上の都合に対抗できない。
 立的な立場でアドバイスを受ける事ができない。

このような事から設計事務所が存在している訳ですが、ほとんどの工務店は設計事務所の仕事を受けていません。
なぜなら、工務店にとって設計事務所は「建て主の代理人の建築士」であり、いない方が仕事がしやすいからです。


設計事務所の仕事を受けられる工務店には、

・自社の見積りや施工を指摘される事、現場を見せる事に後ろめたさが無い
・建て主の望むデザインや性能に対して、施工側の都合によらずに作る心構え、向上心がある
・設計という業務を軽んじていない。設計を他社の設計士が行う事に、意義があると考えている
→例えば建て主との内容をしっかり詰めた図面を求めている
 建物のレベルを上げたい、 設計が入ることで施工に専念できる など

という特徴があります。


工務店はその規模の大小により、金額やコミュニケーションの取りやすさに差がありますが、
上記のような「ものづくりに対する誠実な姿勢」は変わりなく必要で、工事を託す上で大変重要なポイントです。
そして設計事務所は、それに答えるべく下記の様な能力を持たなければならないと思います。

・施工において知識を持ち、合理的ではないデザインを押しつけない
・上辺だけ、あるいは白抜き(中身は考えられていない)図面やデザインを提供しない
・現場の状況(職人の不足や能力の差)を無視した提案をしない

つまり設計と施工は互いにその役割を尊重して、協力態勢で建て主の要望にこたえていく強い関係性が必要です。
技術力や経営姿勢を無視して「相見積り」を取って金額だけで施工会社を決めることなどはあってはならないと思います。

また設計は見栄えだけを考えて「ここから実際に作るのは施工の仕事だから」と責任を押し付けてはいけません。
施工も「図面がこうなっているから、言われたとおりに作っただけ」というスタンスではいけません。
双方の信頼関係なくして、質の高い建物をつくる事はできないのです。

「建築家」と「設計事務所」

世の中には建築家という職業があります。
社会情勢や環境問題に深く関心を持ち、建築を通じて新たな価値を見出していく建築家の
チャレンジがなくては、建築の進化はあり得ません。大変、社会的意義のある職業です。
しかし、全ての設計事務所が「建築家」と名乗っている訳ではありません。
工務店やハウスメーカーの設計業務を外注で請け負い、設計をする事務所も沢山あります。
そのような設計士は性能の良い建物を提供するために働く、いわば技術者です。
私は設計士は、建築家的な発想と技術者としてのスキルの両方が必要だと感じます。
これからは職種の垣根を越えた多能な人種が活躍する時代だと言われます。
私は自分自身もそのような多能な人間でありたいし、叶うならばお付き合いする業者さん、
さらに建て主さんにもそのような人が増えてくれれば良いなと感じています。
建て主さんと一緒にセルフビルドをすることを推奨しているのも、「業者任せ」の家づくりではなく、
住まいを身近なものとして興味を持って頂きたいと思うからです。
建築に限らず食べ物でも教育でも同じことで、より自立的な生き方をするために、
様々な事に知的好奇心をもって取り組んでいく事が世の中を良くすると考えています。

まとめ

私の仕事のポリシーは、考える人、作る人、使う人が平等で、お互いに興味を持ち、尊敬できること。
体面的ではなく、同じ方向を向いて目的に向かって歩いてゆくイメージを大切にしたいと考えています。

FLOW

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